木工の街、鹿沼の挑戦。

 鹿沼は関東における優れた木材の産地。豊富な木材資源から木工が盛んな地域です。
長年蓄積されてきた高い技術と関東を中心に広がるネットワークで支えられてきた木工業界。特に建具は生産量が全国1位になったことも。運命の悪戯で鹿沼の木工とデザインする人たちのコラボレーションが始まりました。センスはないが技術はある鹿沼の職人と、最前線で活躍するデザイナーたちが提案する”鹿沼のすごい木工”!
何がすごいのか!?それは皆様ご自身でご覧ください!!

ストーリー

鹿沼のすごい木工プロジェクトとは?

 栃木県鹿沼市の高い木工技術、豊富な木材資源、地域の魅力を伝えていくことを目的に、鹿沼市の木工業者と東京のデザイナーによって立ち上がった『鹿沼のすごい木工プロジェクト』。

 事の始まりは2011年の『鹿沼ぶっつけ秋祭り』、地元の方々に鹿沼の木工の素晴らしさを知ってもらいたいという思いのもと、ここで鹿沼市の木材を使用した製品を販売することとなったのです。オリジナルの屋台「杉屋台」にこの日のためにつくられたプロダクトを並べ、製作した者、デザインした者自らが屋台の売り手となり販売を行う。それはお祭りの場だけに留まらず、『屋台屋プロジェクト』として様々なイベントに出展し、多くの方々と絆を深めながら地道な活動を続けてまいりました。

 そして2013年、『屋台屋プロジェクト』は『鹿沼のすごい木工プロジェクト』として更なるフィールドを目指すこととなりました。屋台特有の温かさと賑やかさが日々の暮らしを鮮やかに彩っていけたらと、願って。

昭和20年代の山車
鹿沼ぶっつけ秋祭り 出店の様子

作り手が考えること

 今年も鹿沼宿に、賑やかな日がやってきました。ここがこんなに人で溢れかえるのは、お正月か藪入り、お祭りくらいのものです。そう、今日は4月13日。夕刻迫るころに響き渡る「下あに、下あにおろう」の先触れ。声の後に続くのは、50人ほどの烏帽子、狩衣姿の一団、御幣長持を中央に据えた輿や駕篭、長持と続く日光例幣使の大行列です。権威は高くとも、所詮は下級の公家と半分は俄家来。「相談せんか、相談」と言いがかりをつけてはゆすり、「ご利益あらたか」などと供米を押し付け、古着や漬物石まで売りつける、例年日光例幣使街道を騒がせる少々はた迷惑な御一行なのです。彼らは例年、4月17日の家康公の命日に合わせ京都からやってきます。その道中、鹿沼にも1泊し、御成橋を渡って、日光東照宮に幣帛を奉納するために社参するのです。

 江戸時代、伊勢の例幣使とともに222回も実施された日光例幣使。鹿沼には彼らが通った日光例幣使街道沿いにある宿場町です。交通の要所であり、近郷からの木材や農産品で潤う中継地。そして日光東照宮を支えている杉材やその木材加工も、この地にて行われていました。鹿沼は古の時代から、木材加工や木工業の盛んな土地であったのです。

 時は移ろい、戦後隆盛を極めた鹿沼の木材・木工業。その後、ライフスタイルの変化や大資本による大量生産により鹿沼の木工業会全体が揺さぶられ、業者数・従業者ともにその規模は小さくなりました。しかし、その伝統や培った技は、確かに残り生きています。私たちはデザイナーの皆さんとともに、杉を中心とした木材の温かみ、手触り、環境負荷の小ささなどの有用性を、技術とデザインを駆使してご提案してまいります。

鹿沼チームリーダー
白石 修務

鹿沼のすごい木工に思う

鹿沼との出会いは、ある人からの依頼で、鹿沼の木工のメンバーにスギの活用について話して欲しいという出来事から始まっている。
僕の話は別として、その時、地元の暑苦しい、駄洒落王と意気投合した。
その未来を見る眼差しに惹かれた。
やがて何回か、地元の木工産業を見て行くうちに、この地の持てる能力、可能性に魅せられたのだった。

さて、後は、何をやるかだ。

「よし、ぶっつけ祭りに向けて商品をつくり、自らの手で売ろう!」
「この街で、この街の人々に売る。原点から始めよう!」
「これまでにないやり方で、新しいモノづくりを始めよう!」

僕は、地元のメンバーに、仲間のデザイナーに相談した。
そして、報酬なし、交通費なしの、全て持ち出しの過酷なプロジェクトが動き出した。
それから、3年もやり続けている。様々な出来事や、挫折がありながらも、今も皆が未来を見つめ、走っている。
お金があっても、素晴らしい、メンバーがいても、地域の、行政の補助事業は、なかなか成功しないコトが多い。それは、続けて行く力、成功させるための様々な繋がりや連携がないからだ。
何もない所から、夢をカタチにしていく為に必要なこと。
それは、供に夢を共有し、汗をかき、遠い未来に向かって供に歩む「信頼というつながり」つまり、続けて行く原動力だ。
未来を信じる人達、未来を形にする力、未来に身を捧げる勇気、未来に向かう信頼という絆。
鹿沼のすごい木工は、ここから始まっている。
ここから始まる、モノづくりや製品群は、ジャンルを超え、垣根を越え、価値を未来へ繋げようとする物語の抽出物である。
この、波乱に満ちた、物語を見守って頂ければ幸いである。

デザインチームリーダー
若杉浩一

この人たちがデザインします
浅野 泰弘

浅野 泰弘 
Yasuhiro ASANO

主にプロダクトデザインを中心に、インテリア、グラフィック、パッケージと活動領域は多岐にわたる。
富山プロダクトデザインコンペグランプリ/グッドデザイン賞他入賞歴多数。ミラノサローネに5年連続出展、ニューヨーク国際現代家具フェアー他参加。

藤森 泰司

藤森 泰司
Taiji FUJIMORI

家具デザインを中心に据え、建築家とのコラボレーション、インテリア・プロダクトデザインの分野で活動中。
近年は家具的な思考を掘り下げていくことによって、スケール問わずにさまざまなデザイン分野へ活動領域を広げている。

深田 新

深田 新
Arata FUKADA

株式会社IDEE 企画営業事業部デザインマネージャー(インハウスデザイナー)
主に定番家具、小物から特注家具デザイン及びそれらの監修に携わる。

寺田 尚樹

寺田 尚樹
Naoki TERADA

建築、インテリア、家具、プロダクト、サイングラフィックなどのデザインを中心に活動。紙製の模型ブランド「テラダモケイ」を展開。武蔵野美術大学非常勤講師、グッドデザイン賞など受賞歴多数。

和田 浩一

和田 浩一
Coichi WADA

住宅、店舗、オフィスなどのインテリアデザインを中心に活動。特にキッチンデザインでは定評があり、自らの物件だけでなく、建築家とのコラボレーション物件も手がける。

若杉 浩一

若杉 浩一
Koichi Wakasugi

株式会社内田洋行入社、デザイン、製品企画、知的生産性研究所テクニカルデザインセンターで製品開発と研究開発を行い、現在、内田洋行のデザイン会社であるパワープレイスにて、ITとデザインのメンバーを集めリレーションデザインセンター設立し事業化を志す。

この人たちが作っています
有限会社栃木ダボ製作所

15,000㎡の敷地に、80台を超える木工機械を有し、それらを駆使して、記念品のような小物から住宅部材のような大きな部材加工および、店舗や住宅の家具・什器製作と、様々な木製品を製造しております。

鹿沼木工合資会社

木材の長所である美しさ・暖かさ・優しさ・そして日本の風土に適した木材の吸・放出性・加工のし易さ・軽さなどを活かし、欠点である材質の不均一・割れや狂いを解消した、いわゆるエンジニアリングウッドの集成材を生産しております。

白石物産株式会社

木製建具の販売・工事業を中心に、システム収納家具・店舗什器のOEM生産のお取り扱いまで幅広く対応いたしております。自社工場のメリットを活かし、製造から販売、施工、アフターケアまで一貫したサービス体制でご提供いたします。